もしペーパー薬剤師がドラッカーの『マネジメント』を読んだら

 ピーター・ファーディナンドドラッカーの著書(マネジメントに限らず)を拾い読みしていると、薬局に関連付けられる記述を時々目にします。
 忘れないように、独断と偏見でセレクトして、メモっておこうと思います。

◆まず、言葉の定義
 マネジメントとは情報をナレッジ(知識)へと高め、それを具体的な行動に結びつける総合的な行為。

 マネジメントの役割は
「組織の目的を果たすこと」
「働く人を人間的存在として生かすこと」
「社会的問題の解決に貢献すること」

◆「コミュニケーションで最も大切なことは、相手の言わない本音の部分を聞くことである。」
 ずばり、服薬指導の重要技術であるオープンクエスチョンそのものです。

◆「我々は、一つの重要な分野で強みを持つ人が、その強みをもとに仕事を行えるよう、組織を作ることを学ばなければならない。仕事振りの向上は、人間の能力の飛躍的な増大ではなく、仕事の方法の改善によって図られなければならない。」
 専門家である薬剤師を活かすために大事なこと。

◆「部下の弱みに目を向けることは、間違っているばかりか無責任である。上司たる者は、組織に対して部下一人ひとりの強みを可能な限り生かす責任がある。部下に対して彼らの強みを最大限に生かす責任がある。」「人と働くことは人の成長に関わりをもつということである。いかにともに働くかが、個としての人間および働く者としての人間の成長を助けるか妨げるかを左右する。このことは、マネジメントの対象となる者だけでなくマネジメントをする者にも当てはまる。部下を正しい方向へ導き、より大きく、より豊かな人間にすることが、直接的に、自らがより豊かな人間となるかより貧しい人間となるか、成長するか退化するかを決める。」
 管理薬剤師・開設者が肝に銘じることだと思います。

◆「マネジメントは物事を正しく行う事で、リーダーシップとは正しい事をすることである。」
 患者の立場で受診すると、保険点数欲しさに要件に満たないシール交付だけでの手帳点数付けている薬局を稀に見受けます。お薬手帳の意義をしっかり理解して、説明し、患者さんに活用してもらうのが薬剤師の仕事なのですが。

「組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。組織の活動や業績とは(略)患者に優れた医療サービスを提供することである。組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。命令に従って行動すればよいというわけにはいかない。自らの貢献について責任を負わなければならない。」「知識労働者を直接、あるいは細かく監督することはできない。彼らには助力を与えることができるだけである。知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結び付けるべく、すなわち成果を上げるべく、自らをマネジメントしなければならない。」
 上司の指示に従うことが仕事という職種ではありませんよね。薬剤師はセルフマネジメントできるようにならなければならないということになります。

「手っ取り早く、効果的に生産性を向上させる方法は、何を行うべきかを明らかにすることである。そして、行う必要のない仕事をやめることである。」「できることから始めるのではなく、正しいことから始めるのです。」
 イレギュラーな繁忙日やスタッフの急病でないにも関わらず、いつも大量に薬歴が溜まってませんか。常に改善の種を明らかにすることは重要です。

とりあえず、ここまで。
また、更新します。