あり得ない事件 2011.9.8一部訂正

※日経DIプレミアム2011年9月号の記事で、小嶋容疑者が投薬したのではなく、開設者として書類送検されたと回答していましたので、一部訂正いたします。<2011.9.8訂正>

ミスがあり得ないのではなく、その後の対応と職業意識の低さがあり得ません。

埼玉県薬剤師会HPの小嶋会長挨拶で
(現在リンクはなくなっています)
「…私たち薬剤師は、専門知識や技術を生かし、県民の皆様の安全・安心のために、いろいろな役割を行っております。その一環として、お薬を中心とした質の高い医療サービスの提供や、お薬の正しい使い方などをとおして自己健康管理のための助言を行っております…」とあったのに。。。。

まとめると、
1.2010/3/25 薬剤師Aが監査せず投薬
胃酸中和剤(マグミット錠250mg)と間違えて調剤された毒薬区分のウブレチドを(残薬があるので)3/31から患者さんは服用。
※各社新聞記事では、この薬剤師Aを開設者、埼玉県薬剤師会会長であった小嶋富雄薬剤師となっていましたが、日経DIプレミアム2011年9月号p32の取材記事によると、本人から亡くなられた方の投薬はしていない。書類送検は開設者責任とのコメントがありました。
そうすると、投薬をした薬剤師Aは書類送検されていないという事になります。
2.2010/4/1 薬剤師Bが在庫管理の際に誤り(23人の患者さんに対して2970錠の間違い。おそらく棚卸しで発覚したものと思われる)に気づいて、管理薬剤師Cに報告。

しかし、管理薬剤師Cは、県薬剤師会会長である開設者で雇用主の小嶋薬剤師を恐れて対処せず。
この時点で、患者さんに対して適切なアクションを取っていれば、亡くならずに済んだ可能性がある。→したがって、Cは業務上過失致死容疑
患者さん視点が少しでもあれば、対処しないというのはあり得ません。判決がどうあれ薬剤師として完全に失格であり、薬剤師免許剥奪も当然のことと思えます。

3.2010/4/7 患者さんは服薬を続けて亡くなられた…
4/1時点で誤りを適切に対処していれば、患者さんが助かった可能性がある。

【その後】
4/7 入院先の病院は死因に不審な点があるとして、警察に通報。
4/7-13 他の22人から未使用のウブレチド二百数十錠回収(2700錠はすでに飲まれていた)。
4/13 警察の情報提供で、薬局に保健所が立入検査。事実関係と同時に業務手順書や安全管理指針を作成していないことがわかった。
そして、16ヶ月間、翌2011年8月19日に書類送検されるまで日薬等への報告はなかった。同日、会長職を辞任。

【調剤ミスと調剤事故と調剤過誤】
 調剤ミス(インシデント、ヒヤリハット):
 調剤の過程で起こったなんらかの間違いのこと

 調剤事故:
 調剤に関連して、患者さんに健康被害が発生したもの。薬剤師の過失の有無を問わない。

 調剤過誤:
 調剤事故の中で、薬剤師の過失により起こったもの。



以下、記事のリンクです。
◆調剤ミスで75歳死亡、薬剤師2人を書類送検
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110819-OYT1T00504.htm
…埼玉県警は19日、「小嶋薬局本店 サンセーヌ薬局」(埼玉県越谷市)の吉田玲子・管理薬剤師(65)(千葉県野田市)を業務上過失致死容疑で、経営者の小嶋富雄・埼玉県薬剤師会長(76)(埼玉県越谷市)を業務上過失傷害容疑でさいたま地検書類送検した。
発表によると、小嶋会長は昨年3月25日、春日部市の米沢朝子さん(当時75歳)が胃の負担を和らげる「胃酸中和剤」を医師から処方されていたのに、重症筋無力症の治療に使う「コリンエステラーゼ阻害薬」を誤って調剤して渡し、全治不詳の中毒を起こさせた疑い。
 医薬品管理の責任者だった吉田薬剤師は、在庫管理の際に調剤ミスに気づいた部下の薬剤師から同4月1日にミスの報告を受けながら、米沢さんに連絡せずに放置し、薬による中毒で死なせた疑い。
 米沢さんは同3月31日頃から誤って渡された薬の服用を始め、4月7日に入院先の病院で死亡した。
 県警は、調剤ミスに気づいた時点で連絡をしていれば、死ななかったとみている。
(2011年8月19日12時53分 読売新聞)

◆誤調剤容疑75歳死亡 薬剤師2人書類送検
http://www.saitama-np.co.jp/news08/20/02.html
 調剤ミスで春日部市の無職女性を死亡させたとして、県警捜査1課と春日部署は19日、越谷市七左町、「小嶋薬局本店サンセーヌ薬局」の吉田玲子管理薬剤師(65)=千葉県野田市岩名=を業務上過失致死容疑で、同薬局の経営者で県薬剤師会会長の小嶋富雄薬剤師(76)=越谷市蒲生南町=を業務上過失傷害容疑で、それぞれさいたま地検書類送検した。同課によると、自動錠剤包装機で調剤された薬の誤調剤による死亡事故は全国初という。

  吉田薬剤師の送検容疑は昨年3月25日、脳梗塞の後遺症で同薬局を利用した春日部市南町の無職米沢朝子さん=当時(75)=に自動錠剤包装機を使って「胃酸中和剤」を調剤した際、厚労省から毒薬指定され、重症筋無力症などの治療に使う「コリンエステラーゼ阻害薬」を調剤。同年4月1日、誤調剤に気付いたが服用中止の指示や薬剤の回収をせず、同月7日に米沢さんを臭化ジスチグミン中毒で死亡させた疑い。小嶋薬剤師の送検容疑は、薬局開設者として注意義務を怠り、同中毒の傷害を負わせた疑い。

  同課によると、昨年2月下旬ごろ、別の薬剤師がパソコンで自動錠剤包装機に「胃酸中和剤」の番号を登録した時、既に登録されている「コリンエステラーゼ阻害薬」と同じ番号を打ち込み二重登録。「胃酸中和剤」を選択しても、実際には先に登録されていた「コリンエステラーゼ阻害薬」が調剤されていたという。誤調剤は2月下旬ごろから、ミスが発覚した4月1日まで行われ、米沢さんを含む約20人に計約2700錠が処方されたとみられる。

  吉田薬剤師は「失敗を叱責(しっせき)されるのが嫌で、回収の指示や報告をしなかった」、小嶋薬剤師は「客を待たせたくなかったので(部下に)薬の中身を確認させなかった」と話しているという。

  死亡した米沢さんは「小嶋薬局本店サンセーヌ薬局」を10年ほど前から利用していた。同薬局は薬剤師2人が書類送検されたこの日も営業。薬局内で約10人が薬の処方を待っていた。同薬局に勤める女性は埼玉新聞の取材に「(書類送検された2人は)今日は来ない。(事件についても)分からない」と繰り返した。

  米沢さんは事故当時、長男(46)と2人暮らし。長男は県警を通じて「薬局には二度とこのような事故を起こさないように、しっかりした対応をお願いしたい」とコメントした。

■人為ミスで重大結果

 高齢女性が誤って調剤された薬を服用して死亡した事故は、1回に飲む分量ごとに、数種類の薬を同じ袋に詰める自動錠剤包装機で分けられたものだった。この機械は多くの種類の薬を使っている患者が薬を服用し忘れたり、誤飲するのを防ぐために開発、普及してきたもの。だが、どれほど技術が進歩しても、人為的ミスが原因の事故は完全に防げるわけではない。

 自動錠剤包装機は、数百個に分けられた「引き出し」に、薬を種類ごとに収納。そこから、1回に服用する薬を、処方せんに基づいて数百種類の中から必要な種類と分量だけ選び出し、1包みごと袋に小分けしていく装置だ。「引き出し」には番号を割り当て、管理用のパソコンで薬剤名を登録。今回の死亡事故は「胃酸中和剤」と「コリンエステラーゼ阻害薬」の「引き出し」に、同じ番号をつけてしまったために起きた。

  正しく使えば患者が医師の処方した通り薬を服用でき、治療の効果が上がる。さらに、患者側の誤飲防止にも役立つ。だが、「引き出し」に違う薬を補充してしまったりした場合は、大規模な誤飲事故を招きかねない。そこで不可欠となるのが、「監査」と呼ばれる確認作業だ。

  さいたま市内の中規模病院では、外来と入院患者を合わせて、1日約600人以上に約500種類の薬を処方。新しく番号を割り当てて登録する場合は2人で確認するか、試しに動かしてみて正しいものが出てくるのを確かめるという。調剤するときも、処方せんと実際に小分けした薬が一致するかを毎回チェック。薬局長男性は「どんなに忙しくても、確認は欠かさない。調剤薬局は千種類以上の薬を扱うはずだから、チェックはさらに重要だ」と指摘した。

  メーカーによると、一部の小規模施設を除けば、自動錠剤包装機はほとんどの病院や調剤薬局に導入されているという。県薬務課は事故の報告を受けて昨年4月23日、県薬剤師会や県内の保健所を通じて、県内2488薬局に機械の適正管理と「監査」の徹底を注意喚起。同課は「自動錠剤包装機による誤調剤事故は、年に数件報告されていたが、昨春に対策を強化してからはない。今後も指導を継続していく」としている。


◆誤って「毒薬」調剤、女性死亡=薬剤師ら書類送検−埼玉県警
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011081900378
 毒薬に指定されているコリンエステラーゼ阻害薬を誤って調剤し、女性を死亡させたとして、埼玉県警捜査1課は19日、業務上過失致死などの疑いで、小嶋薬局本店サンセーヌ支店(同県越谷市)の女性管理薬剤師(65)=千葉県野田市=と経営者の小嶋富雄県薬剤師会会長(76)=越谷市=を書類送検した。同課によると、2人とも容疑を認めているという。
 同課によると、小嶋会長は昨年3月25日、埼玉県春日部市の米沢朝子さん(75)に対し、処方箋で胃酸中和剤を調剤すべきだったのに、コリンエステラーゼ阻害薬を調剤した疑い。女性薬剤師は、4月1日に誤りに気付いたのに放置し、米沢さんを死亡させた疑い。(2011/08/19-12:57)

◆【小嶋埼玉県薬会長・書類送検】調剤ミスで業務上過失傷害容疑
http://www.yakuji.co.jp/entry24035.html

 埼玉県警は19日、埼玉県薬剤師会会長で今年初めまで日本薬剤師会理事を務めていた小嶋富雄氏(有限会社小嶋薬局社長・越谷市)および「小嶋薬局本店サンセーヌ薬局」の女性管理薬剤師1人を、それぞれ業務上過失傷害容疑、業務上過失致死容疑でさいたま地検書類送検した。
 県警および県薬務課によると、送検容疑内容は、昨年3月25日、春日部市在住の無職女性(当時75歳)に対し、小嶋会長が胃酸中和剤を調剤しなければならないところを、コリンエステラーゼ阻害薬を調剤し、監査もせずに交付。女性管理薬剤師は、4月1日、その調剤ミスの報告を受けたものの、患者に対する服用中止の指示や薬剤回収をせず放置、結果として4月7日に死亡させたとの疑い。
 県薬務課では、同薬局での調剤過誤が発覚した後、昨年4月23日付で、県下薬局に対し、再発防止に向けた注意喚起を図ると共に、保健所による立ち入り検査を行う際には[1]自動錠剤分包機[2]毒薬等の適正管理を県独自の重点項目として盛り込んだ。同薬局については昨年、保健所による立ち入り検査後、再発防止策の提出を受け、8月6日に再び立ち入り検査により改善状況を確認。今年7月にも立ち入り検査を行ったとしている。また、19日付の書類送検に対する同薬務課の対応としては、さいたま地検での患者死亡と調剤過誤との関係についての結論を待った上で、必要な行政処分を行うこととしている。

◆調剤ミス:容疑の埼玉県薬剤師会会長ら書類送検
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110819k0000e040072000c.html
 患者に誤った薬剤を与え、副作用で死亡させたなどとして、埼玉県警捜査1課と春日部署は19日、同県薬剤師会の小嶋富雄会長(76)を業務上過失傷害容疑で、小嶋会長が経営する薬局の女性薬剤師(65)を業務上過失致死容疑で、さいたま地検書類送検した。

 小嶋会長の送検容疑は、昨年3月25日、経営する埼玉県越谷市内の薬局で春日部市の無職、米沢朝子さん(当時75歳)に、胃酸中和剤を調剤するはずが、調剤用機器の設定ミスで、高齢者に重篤な副作用があり毒薬指定されているコリンエステラーゼ阻害薬を調剤し、臭化ジスチグミン中毒の傷害を負わせたとしている。

 女性薬剤師の送検容疑は、同様に誤った調剤をし、誤りを同年4月1日に別の薬剤師から指摘されたのに服用中止の指示や回収をせず放置し、同7日に米沢さんを同中毒で死亡させたとしている。

 小嶋会長は「患者を待たせるのが嫌で薬の中身を確認しなかった」、女性薬剤師は「社長(小嶋会長)に叱責されるのが嫌で報告も回収もしなかった」と供述しているという。同薬局は、昨年2月下旬から4月1日までに患者約20人に対し、約2700錠のコリンエステラーゼ阻害薬を誤って処方したという。【飼手勇介】

毎日新聞 2011年8月19日 13時03分(最終更新 8月19日 13時35分)

◆調剤誤り死なせた容疑、薬剤師書類送検 把握後も放置
http://www.asahi.com/health/news/TKY201108190182.html
 脳梗塞(こうそく)の後遺症を持つ埼玉県春日部市の女性(当時75)が死亡したのは、薬剤師の誤調剤が原因だとして、埼玉県警は19日、管理薬剤師の女性(65)を業務上過失致死の疑いで、上司の同県越谷市の薬局経営者の男性薬剤師(76)を業務上過失傷害の疑いで、それぞれさいたま地検書類送検し、発表した。

 捜査1課によると、女性は約10年前から医師から胃酸中和剤を処方されていたが、この薬局で誤って重症筋無力症やアルツハイマー病などの治療に使用されるコリンエステラーゼ阻害薬を調剤されたという。女性は昨年4月7日、薬物中毒で死亡した。

 女性薬剤師は同年4月1日、調剤ミスを把握したが、回収などの措置を取らなかったという。女性薬剤師は「上司の男性薬剤師に叱責(しっせき)されるのが嫌だった。苦情が出ていないので大丈夫だろうと思った」と話しているという。

最悪です。患者さんの健康を第一に考えるのではなく、自己の都合と自己の保身のみ。