日本語アルマールとアマリール。英語Almarl & Amaryl

薬剤師なら誰でも知っている事ですが、調剤において名前が似ている事による別物調剤が多く、間違えたことによるリスクが大きいものとして、糖尿病の薬アマリールと高血圧の薬アルマールがあります。
カタカナの字面が似ているために、医師が殴り書きしたものを処方箋に入力する病院、診療所、薬局の事務さんが間違えてPCに入力したり、薬剤師が思い込みで取り違えたりするわけです。

特に重篤な健康被害があるのは、血圧が高くてアルマールを服用している人に間違ってアマリールが渡ってしまったケースです。正常な血糖値の人が低血糖を起こし、最悪のケースでは死亡例もあります。

アマリールが発売されて十数年、ずっと続いていたことです。
そんな中、6月にアマリール名称変更をするとのニュースを見ました。
http://www.asahi.com/health/news/TKY201201120198.html

2000年にアマリールを発売した外資企業サノフィアベンティス(当時は別の社名でM&Aでこの名前になった記憶があります)ではなく、それに15年先駆けて(1985)発売されていたアルマール大日本住友製薬さんが変えるというのは、大日本住友製薬さんとしては英断だったと思います。

なぜ、後から発売されたアマリールではなく、先に発売したアルマールが改名することになったのか、考えてみます。

推測1)流通量の大小。
手元に数字はありませんが、アルマールは有名な部類で処方される事も平均よりはある薬ですが、常にベスト○×に入ってくるアマリールとは流通量が圧倒的に違うため、少ない方のアルマールが変えるということになった可能性もあるのではないか?

推測2)国のジェネリック推進施策対策。
先発品だと、似ていますが一般名はアロチノロール塩酸塩です。(アマリールはグルメピリド)
医療費抑制に加えて、過誤防止のために、ジェネリックに切替える医療機関が増えることを危惧した可能性があります。
名称類似の危険性自体は十数年言われ続けてきたので、このタイミングという点で、考えられることです。名前を変える事で出荷量が減ることを防ぐ狙い?

推測3)困ってるのは日本だけ。
日本語だとアルマール,アマリールですが、英語ではAlmarl、Amaryl
英語でも似ているといえば、似ていますが、カタカナよりはるかに字面が判別しやすいと私に思います。英語圏はあまり困らないので、困っている日本の企業である大日本住友製薬さんが踏み切った。

どれもありそうなことですし、他に理由があるかもしれません。
ともかく、名称変更は賛成ですし、踏み切った大日本住友製薬さんに拍手を送りたいと思います。