Amazonスマホと顧客視点

図らずも前回と同じテーマです。
顧客視点とAmazon

まず、「顧客視点(目線)」という言葉は勘違いされがちです。
「お客様は神様です!と低姿勢で丁寧なサービスをする」のが顧客視点ではないと思います。

顧客視点は、顧客の行動を把握して、行動の軌跡から分析を行い、仮説を立てて改善をしていくことだと思います。
どのように顧客が感じているか、厳密に客体分析するということであって、お辞儀の角度ではなく、データサイエンス、ユーザーインターフェイスに関することなのかなと。
また、「お客様のために」ではなく「お客様の立場に立って」が大事です。自分が顧客の立場で体験・思考することと、自社の都合をコンテキストにおいて思考だけすることは全く違います。
 


 さて、Amazon初のスマホが発表されました。

※その後、全く売れずになくなりましたね。グーグルグラスもそうですが、視線活用が(一旦)消えて、音声入力が主流となる。インターフェース論を考えると興味深いです。(2018年1月更新)

視線認識UIは面白いけど、それだけだと3D TVの類いのようにすぐ飽きる。視線認識技術を応用して手を使わずに操作という方向に将来性を感じます。
より早く世の中に影響あるのは、Amazonのビジネスに連動しやすいFireflyの方かもしれません。

視線認識はユーザーよりAmazonにメリットがあるでしょうね。
サイトやアプリのどこをどれだけの時間見たかというPCのヒートマップ分析以上のデータが取れますので、これは大きい。人が何に注目するかというビッグデータが一気に集まるわけです。
簡単なところでは、ECサイトのUI/UX、品揃え、MDの改善に使えますし、メーカーの商品開発等にも活用できるデータでしょうね。

つまり、そのものずばり顧客の視点をデータ化できることになるわけです。

私の所属する企業では、コーポレートスローガンに「おもてなし」を掲げています。
ただ、「おもてなし」といっても定義があいまいになりがちなので、定義もあります。

『お客様が必要な時に、必要なだけ商品やサービスを快適な環境のもと、ご納得いただける価値・価格でご提供すること』
『お客様の関心や好みに十分対応し、またお客様ご自身では気づいていない商品やサービスの提供をすることにより、お客様にとっての「感動や喜び」を創造すること』
顧客視点を得て、それを仮説検証し、サービスをブラッシュアップするAmazonの戦略はまさにこの定義にかなっているというところにジェフ・ベゾス氏の凄味を感じました。