マーケティング対応におけるコンビニエンスストアとドラッグストアの関係

 マーケティング対応とは何か?
 その一つの答えは、ニーズ対応とコンセプト提案のwell balanseと言えます。

 コンビニエンスストア(以下CVS)のマーケティングとは、まさにニーズ対応の究極的な追求です。POSレジによって徹底的に消費者のニーズを汲み上げて、死に筋商品を1日でも早く排除して、売れ筋商品を並べる。また、半径数百mの消費者の利便性に貢献するものはおでんからワイシャツ、ネクタイまで何でも置く、郵便・宅配はもちろんATMや公共料金支払いまで手がけることで、まさに便利を体現した店となっているわけです。
 ところが、どのCVSチェーンもニーズ対応に注力し押し進めた結果、各チェーンならではの独自性がなくなり、差別化が難しくなってきています。
 2009年の薬事法改正を大きなきっかけとして、以下のようなドラッグストア(調剤主体でもOTC供給企業ということでこの記事では同一の括りにさせていただきます。以下、Drg)チェーンとCVSの業務提携が組まれています。これは、CVSに医薬品を揃えることでニーズ対応をより追求しようというものと、CVS+Drgで新たなコンセプト提案をしていこうというものの二つに分かれます。
 ニーズ対応だけでは、独自性を打ち出すことはできないので、コンセプト提案のあるCVS+Drgコラボが実現していくとしたら要注目だと感じております。
 ※ニーズ対応を青字、コンセプト提案を赤字、その他は黒字

セブン&アイアインファーマシーズ
 セブンイレブンの隣にアイン調剤のコラボ実験。
 アインズ・トルペの一部商品をセブングループから供給で納入価ダウンし、アインズ・トルペの経常利益赤字幅を縮小。
 CVSではないですが、イトーヨーカドーにアインズ・トルペ的な医薬品コーナーを試験設置したのは、元々あった医薬品コーナーに若い女性客を取り込むと同時に高齢者対応を強化するというコンセプト提案があります。

◆ローソン+マツモトキヨシ
 浦安でマツモトキヨシローソン100を並べて出店。
 人事交流により、ローソンの登録販売者を大量養成。

◆ローソン+クオール
 登録販売者を管理者として配置した医薬品店舗販売業(1類医薬品は扱えない)のナチュラルローソン(物件としての)店内に、1類医薬品を品揃えしたクオール調剤薬局を併設。クオール側の管理薬剤師はローソン側で医薬品を販売することは出来無いので、ローソン側に常時登録販売者がいないと医薬品コーナーを閉鎖する必要があります。
 24時間対応のクオール薬局他店の薬剤師に電話で相談できるシステムがローソン側店内にあるのですが、実際にかけた人の話しでは日中は電話先が忙しいのか繋がらなかったそうで、安心感の演出が主目的のようです。この演出もコンセプト提案に入るかと思われます。

 ここまでのCVS+Drgの取り組みはいずれも隣り合わせにしたものであり、お客様の立場でおにぎりと風邪薬を買おうとした場合、双方の売場のレジで会計を行うことになり、利便性は今ひとつと言えます。

ミニストップCFS(ハックドラッグ)+タキヤ(れこっずはこのイオン系三社の共同出資による合弁会社
 れこっず磯子広町店以前はDrgのPOSにCVS商材を登録して通常のレジを行い、代金収納等のCVSレジならではの機能はミニストップのPOSで行うという変則2オペレーションを採用していましたが、れこっずでは完全な1オペレーションPOSとなっていたので、今後この3社ではれこっず業態に絞り込んでのコンビニドラッグ出店を行うのでしょう。

◆その他
 ファミリーマートはDrgと提携せず東池袋等で、自社の医薬品店舗販売業を実験しています。
 ツルハHDとポプラが業務提携。ポプラはその後ヒグチとも業務提携し、既存店改装。ポプラに関しては元々Drgも少し持っているので、出店自体はそれなりに進みそうな気がします。
 サークルKサンクスココカラファインについては、一サラリーマンではありますが、インサイダーですので、記載しません。
 http://www.cocokarafine.co.jp/ir/index.html